パナソニック、自走するロボットが公道で単独販売を行う実証実験 国内初

2022年12月1日 07:58

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走行するハコボのイメージ(画像:パナソニックグループの発表資料より)

走行するハコボのイメージ(画像:パナソニックグループの発表資料より)[写真拡大]

  • ハコボによるカプセルトイ販売のイメージ(画像:パナソニックグループの発表資料より)
  • ハコボによる飲料販売のイメージ(画像:パナソニックグループの発表資料より)

 パナソニックホールディングスは11月30日、自動走行するロボットが公道で単独販売を行う実証実験を行うと発表した。場所は東京都千代田区の丸の内仲通り周辺。大手町・丸の内・有楽町地区(通称、大丸有地区)で進められている「スマートシティモデルプロジェクト」の一環として行う。公道でロボットが単独販売を行うのは、国内初という。

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 実証実験に使われるのは、パナソニック製の自動搬送ロボット”X-Area(クロスエリア)Robo”の「ハコボ」1台。自動走行で丸の内仲通り・大名小路・行幸通り辺りを巡回し、特定地点で停車した際に、無人でカプセルトイや飲料・軽食などの販売を行う。実施期間は、2022年12月1日~23年2月4日までを予定。稼働日は火曜日から土曜日で、午前・午後それぞれ約2時間強を目途に走行する。

 実証実験第1弾となる12月1日~25日は、丸の内のオリジナルグッズをカプセルトイの形で販売する。利用者は、特設ホームページまたは大丸有地区の地図アプリ「Oh MY Map!」でハコボの現在位置の特定が可能。停車中のハコボに500円を入れると、カプセルトイが購入できる。

 ハコボの走行や挙動は遠隔でオペレーターが監視しており、緊急時には遠隔操作が可能。基本的にはロボットが障害物などを回避して自走するが、回避が難しいと認識した場合はオペレーターに通知するため、遠隔から対応できる。

 パナソニックはこれまで、同社が展開する「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」を中心に、自動搬送ロボットの実証実験を行ってきた。20年11月頃から同エリアの住宅街で公道走行の実験を開始し、その後は弁当やパンなどの配送サービスも展開。21年3月には近隣のアイン薬局と連携し、医薬品配送サービスも実施している。

 Fujisawa SSTでの実験走行距離は1,200キロメートル超。実験の中でロボットや遠隔監視・操作システムを進化させてきたという。22年4月には、警察庁の「特定自動配送ロボット等の公道実証実験に係る道路使用許可基準」で完全遠隔監視・操作型の審査をクリア。道路使用許可が取得できたことで、環境が近しい他の場所でも簡単な手続きで展開可能となった。今回の実証実験は、他拠点展開の第1号となる。

 実証実験の拠り所であるスマートシティモデルプロジェクトは、19年から国土交通省の採択事業として進められてきた。20年3月にはビジョン・実行計画を策定し、街の価値を高める「都市のアップデートとリ・デザイン」を設定。

 リ・デザインでは「Smart&Walkable」のもと、自動走行ロボットの活用や自動運転タクシーなど新しいモビリティの導入を盛り込んでいる。今回の実証実験もその1つだ。実証実験では、ロボットと人が共存する街づくりの課題を明らかにしながら、将来的には複数台の走行も見据えているという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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