商船三井、ユーグレナのバイオ燃料で大型フェリー航海の実証試験 国内初

2022年3月30日 06:30

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 商船三井は29日、ユーグレナ社のバイオディーゼル燃料を用いて、大型フェリー「さんふらわあ しれとこ」で実証試験航海を行ったことを発表した。大型フェリーでバイオディーゼル燃料を用いた実証試験航海は、国内初という。

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 航海は、フェリーの運航場所である茨城県大洗港で実施。使用したバイオディーゼル燃料は、使用済の食用油と藻類の一種であるユーグレナから製造されているため、環境負荷軽減に寄与するという。

 ユーグレナ社のバイオディーゼル燃料は、市販の軽油と同等の分子構造でできている。そのため、内燃機関の変更などは不要で、エンジンに負荷をかけることなく使用可能。従来使用してきた重油とは異なり、大気汚染の原因となる硫黄分を含まないことも特徴の1つだ。

 植物由来のバイオディーゼル燃料でも、エンジン稼働時の燃焼段階では、温室効果ガスとなるCO2は排出される。だが原料である藻類が成長する過程でCO2を吸収するため、CO2の排出量は実質的にゼロとなり、カーボンニュートラルの実現につながると期待されている。

 商船三井グループは2021年6月に「環境ビジョン2.1」を策定。中心的に取組む課題として、50年までにネットゼロ・エミッション(CO2排出量実質ゼロ)を達成することを掲げている。環境ビジョン2.1は、20年6月に公表した、エネルギーシフトや環境負荷低減に向けた取組み「環境ビジョン2.0」をアップグレードしたものだ。ネットゼロ・エミッションの目標も、以前の「今世紀中のできる限り早期に」から時期を早め、明確化している。

 目標達成に向けた戦略としては5つ設定。その戦略の1つ目に「クリーン代替燃料の導入」を置いている。導入候補の代替燃料は多数あり、液化天然ガスやアンモニア、液化水素、電池などと共にバイオディーゼルが含まれている。

 商船三井とユーグレナ社は20年12月、名古屋港でバイオディーゼルによるタグボートのトライアル航行を実施。船舶燃料としての実用性が確認済で既存設備を活用可能なため、ビジョン2.1では、バイオディーゼルを早期に実用化しやすい燃料と位置づけている。一方で、供給能力などの点から、現時点では海外の港に寄港する外航船への大幅な利用拡大は見込まれていない。だが今後の技術進化などに伴い、活用範囲は変化していく可能性がある。

 22年3月23日には、商船三井グループで物流事業を担う商船三井ロジスティクスが、集荷・配送用トラックへユーグレナ社のバイオディーゼル燃料を導入すると発表。関東1都6県で運行する輸出入航空・海上貨物トラックに、バイオディーゼル燃料を採用するという。商船三井グループでのバイオディーゼル燃料の活用は、今後も拡がっていくと期待される。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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