半導体パッケージ大手:新光電気は既に3回の上方修正、現状を再検証する

2022年2月14日 16:53

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 前号の会社四季報は、新光電気工業の今3月期の営業利益を、会社計画:406億円から450億円に独自増額した。対して新光電気は、第1四半期から第3四半期まで開示と同時に3回連続の上方修正。「43.6%増収(2700億円)、191.5%営業増益(680億円)、171.9%最終増益(490億円)、15円増配45円配」予想で、第4四半期入りしている。

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 余談だが某電子部品メーカーの社長から「四季報の独自増額は、努力目標。が、それをなおかつ上回って快感を覚える対象でもある」と聞かされたことがある。新光電気・倉嶋進社長の胸の内を、できるなら覗いてみたい。

 半導体パッケージ(ICチップと外部を接続し微細な回路を衝撃やほこり・湿気などから保護する)の大手で、主たる取引先はインテル。半導体製造装置向けチャック(シリコンウエアを把持する)も手掛けている。半導体関連企業に、好収益企業が目立つ。その理由はご案内の通り「半導体不足」。

 株価は収益動向を文字通り反映している。昨年大発会の2302円が昨年来安値。対して今年の大発会の5270円が同高値。IFIS目標平均株価は算出を担当したアナリストの11人中10人が「強気」の、6209円。

 改めてセグメント別の状況を、第3四半期決算から確認してみた。

 『プラスチックパッケージ』―フリップチップパッケージがパソコンやサーバー向けに需要拡大で売上高大幅増。IC組立がハイエンドスマーフォン向けに受注が大幅増。プラスチックBGA基板(元基盤にビルトアップし作る積層基盤)が、先端メモリーや自動車向けに受注拡大。前年同期比54.1%の増収(1267億8700万円)。円安基調で271.2%の経常増益(384億6100万円)となった。

 『メタルパッケージ』―リードフレーム(半導体素子:チップを支持固定し、外部配線と接続する)が自動車向けを中心に幅広い需要増加で、大幅増収。セラミック静電チャックが半導体製造装置向け市場の旺盛な需要を背景に大幅増収。ガラス端子(金属とガラスで構成される気密性・電気特性に優れたパッケージ)が光学機器向けに受注増。41.4%の増収(672億8900万円)、178.1%の経常増益(157億7500万円)となった。

 ここまで好環境に恵まれていれば・・・と思うばかり。そして新光電子では、この好環境を更に享受しようと、こんな計画を公にしている。「1400億円を投じ、更北(長野県)、若穂(同)工場を増強。千曲(同)に新拠点を開設し23-24年度を目途にパッケージ供給能力の5割増。静電チェックも23年度に高丘工場(北海道)の能力倍増」。

 株価が騒ぐのも、当然か。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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