凸版印刷、ICTで外国人生徒の日本語学習を支援 茨城で実証実験

2021年12月26日 16:42

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利用のイメージ。(画像:凸版印刷の発表資料より)

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 凸版印刷(東京都文京区)は、2021年12月から22年3月まで、ICTを用いて外国人生徒の日本語学習を促進する方法の検証を行う。日本語学習の指導を必要とする児童や生徒は増加しており、2018年度には5万人を超えたと推計されている。だが、国内の指導体制は充分に整っていない。

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 凸版印刷が運営するICT学習サービス「navima」の、読解力向上支援コンテンツを利用する。実証実験は、筑波大学と共同で茨城県内6つの中学校で行う。

 指導員1名を複数の生徒に対して配置。「navima」の学習履歴からつまずきや誤答を把握し、同サービスの中からそれに対応した適切な解説動画などを当てて、外国人生徒が日本語の理解を深められるように導く。

 日本語指導を担える人材は不足しているが、オンラインでつなぐことで、少ない人数でも効率的に指導できるようにする。学習支援が行き届いていなかった地域にも、学びを届けることができる。指導員と生徒をつなぐだけでなく、異なるエリアの生徒同士を遠隔でつなぎ、交流も促進する。互いに学習意欲を高め合ったり、言葉の壁によって孤立することも防ぐ。

 日本語指導を必要とする児童生徒数は右肩上がりで伸びており、日本語指導者は数が不足している状態だ。文部科学省によると、日本語指導支援者の登録・雇用が無い教育委員会は、全国で71%にも及ぶ。また、外国人生徒が1人以上いる地域においても、指導体制を特段整備していない教育委員会も29%にのぼっている。

 そのため、小中学校の子どもが、日本語が分からないために不就学に陥っているケースも少なくなく、外国人生徒が高校卒業後に進学する割合も、日本人に比べて低くなっているという。

 凸版印刷は今後、同サービスを日本語学習支援の有効なツールに育てるべく、実証実験の結果をもとにコンテンツの追加や改修を行っていく予定だ。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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