大日本印刷、圧力がかかると発光する「応力発光印刷」を開発 真贋判定に活用

2014年10月2日 15:19

印刷

大日本印刷は、切る、折り曲げるなどの圧力をかけるとインキが発光する「応力発光印刷」を開発した。写真は、ミシン目を切った時に発行している様子(同社発表資料より)

大日本印刷は、切る、折り曲げるなどの圧力をかけるとインキが発光する「応力発光印刷」を開発した。写真は、ミシン目を切った時に発行している様子(同社発表資料より)[写真拡大]

 大日本印刷(DNP)は2日、切る、折り曲げる、引っ掻くなどの圧力を印刷面にかけるとインキが発光する「応力発光印刷」を開発し、世界で初めて実用化したと発表した。偽造防止効果を高める技術として、金券などの印刷物に応用し、10月に量産を開始するという。

 同社によると、応力発光印刷は、ひずみが生じると発光する特殊な分子構造を持つ応力発光体を活用したもので、圧力がかかったときだけ発光し、元に戻せば消えるという特徴を持っている。堺化学工業の応力発光性を持つ顔料を使用して開発した。数分ほど印刷面に光を照射した後、暗い場所で印刷物を切る、折り曲げる、引っ掻くなど圧力をかけると、緑色の光を発する。

 また、太陽光や蛍光灯などを照射した後、暗い場所に移動しても、しばらく残光が生じる「燐光性」もある。この応力発光や燐光を発する印刷物を正規品と見なすことによって、真贋判定に利用できる。耐水性や紙への加工適性など備えており、印刷色は無色。応力発光印刷の加工コストは、通常の印刷1色分の価格に対して10%増程度を予定しているという。

 同社は応力発光印刷を、ミシン目を切ったり、折り曲げたりしたときの光を確認して真贋判定するチケットや、アイキャッチ効果を高める商業印刷物、雑誌付録などに提供するほか、用途開発と市場開拓を進めていくとしている。応力発光や燐光を使って機械で真贋判定する方法と判定機の開発なども検討していくという。

 偽造防止印刷は、真贋判定を機械で行うものと目視で行うものに大別される。目視で判定できる偽造防止印刷は、手軽に確認できる一方、悪意のある第三者による模倣の対象となりやすく、常に新しい技術が求められている。大日本印刷はこれまでにも、模倣が困難な人工DNA(デオキシリボ核酸)を含有した人工DNAインキや各種ホログラムなど、多数の偽造防止印刷技術を開発し、これらを組み合わせて高い偽造防止効果を備えた商品券やチケット、カードなどを提供している。

関連記事