神戸製鋼、北米における自動車用冷延ハイテンの連続焼鈍設備が営業運転開始

2013年5月14日 17:39

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営業運転を開始した連続焼鈍設備(CAL)外観(写真:神戸製鋼所)

営業運転を開始した連続焼鈍設備(CAL)外観(写真:神戸製鋼所)[写真拡大]

 神戸製鋼所は14日、同社と米国United States Steel Corporation(以下USS社)との合弁事業である北米での自動車用冷延ハイテンの製造拠点「プロテックコーティング社」が、年産50万ショートトンの能力を有する自動車用冷延ハイテンの連続焼鈍設備(CAL:Continuous Annealing Line)の建設工事を完了し、営業運転を開始したと発表した。現地時間5月13日にその竣工式を開催した。

 北米における自動車販売は、リーマンショック後に一時約1,000万台水準まで落ち込んだものの、2010年以降は順調に回復し、2012年には約1,450万台まで回復してきている。さらに足下は年率換算約1,500万台水準となるなど引き続き増加が見込まれている。また、北米市場では、CAFE(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)による燃費規制が今後大幅に強化されることで自動車の軽量化ニーズは特に高まっており、衝突安全性向上の観点からも自動車用ハイテンの需要は益々拡大していくことが期待されている。

 このような中、神戸製鋼とUSS社のイコールパートナーシップの北米拠点として1993年に操業を開始したプロテック社は、現在自動車メーカー各社に自動車用溶融亜鉛めっきハイテンを供給し、車体下部を中心とした車体軽量化に貢献しており、年間100万ショートトンの自動車用高級鋼板を生産する世界最大級の供給拠点となっている。

 今回新たに営業運転を開始した連続焼鈍設備は、ウォータークエンチ(WQ、水焼入れ)装置に加え、超高速ガスジェット(GJ)冷却装置も併設した最新鋭の連続焼鈍設備で、自動車分野で採用されている多様な冷延ハイテンが製造できるだけでなく、加工性を飛躍的に向上させた次世代製品についても対応可能となっており、引張強度590Mpa以上のハイテンを中心に製造していく。今後は780MPaや980Mpa以上の超ハイテンの生産も視野にいれており、燃費向上やCO2削減に繋がる自動車部品の高強度化・軽量化に貢献していく。

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