出勤時に霞が関までバスを走らせる居住賃貸事業展開:マリオンの不動産証券化事業

2023年10月13日 16:34

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i-Bondのイメージ。(画像: マリオンの発表資料より)

i-Bondのイメージ。(画像: マリオンの発表資料より)[写真拡大]

 マリオン(東証スタンダード)。「不動産賃貸事業」「不動産証券化事業」「不動産売却事業」を展開している。

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 そもそも興味を覚えたのは、不動産賃貸事業の在り様。注力しているのは、地方公共団体の東京事務所などの出先機関のスタッフ用住居。

 2022年9月末で県や市、東京事務所と81先、222件と入居契約をしている。朝定時に霞が関まで居住者用の出勤バスを運行している。かつ入居者には生活家電品を貸与。21年10月から22年9月までの平均入居率は、95%を上回っている。着眼点に、惹かれた。

 証券化事業の対象は自社所有やサブリース契約により展開している、賃貸物件。2004年から展開しているが、現時点までの募集基金は183億円以上に及ぶ。申し込みから契約まで、Web(i-Bond)で完結。

 「私にも投資が出来るのだ」と色気を感じたのは、一口1万円単位から入出金が可能と知ったから。がたとえ1万円からでも儲からなくては・・・。投資家(顧客数)は22年9月末で900人以上。累計販売額63億1855万円。募集規模41億3604万円。

 無論、投資である以上は自己責任。儲かるか否かに対しマリオンでも当然「元本・利回りを保証するものではない」とする。がこうも発信している。「優先劣後(元本割れリスクを軽減する)方式の採用や利益は投資家に最優先で分配する枠組みで、これまで元本割れや予想分配率を下回ったことはない」。

 前9月期でみると総売上高21億5900万円の約58%を、「賃貸事業」で占めている。賃貸事業動向が収益のカギを握る企業。今9月期は大幅な増収増益計画「29.7%増収(28億円)、19.5%営業増益(2億7000万円)、1円増配11円配」で立ち上がり、開示済みの第3四半期の実績は「24億3200万円、3億3200万円」。着地での上振れ期待を示している。

 本稿作成中の株価は1100円台半ば。9月12日に前日比385倍弱の出来高を伴い2083円まで急伸した(但し終値は前日比200円超安)。時価のPBRは0.45倍。第3四半期の通期計画比実績を受けて、PBRを材料とした思惑買いと捉えた。

 マリオンに対し「PBR対応策は」と、問い合わせた。「公にしている施策はない。企業の価値を上げるため、まずは業績を上げることだと認識している」という答えが、IR担当者から返ってきた。私は改めて持論である「IR活動が肝要か」と、僭越ながら返信した。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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