小規模飲食店の転貸事業展開:テンポイノベーションが「子ども食堂」に見せる前向きな姿勢!

2023年8月1日 15:42

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 テンポイノベーション(東証プライム)。飲食店向け小規模店舗の転貸事業を、東京23区をはじめ1都3県で展開している。

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 読者諸氏は、「子ども食堂」をご存知だろうと思う。NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」などによると、2022年9月から11月の調査で7331カ所が確認できたという。わけあって食事や団欒に恵まれない人たちに「その場」を、安価・無償で提供する存在だ。

 私が今回、テンポイノベーションを記そうと思った契機は子ども食堂だった。こうした慈善活動に造詣が深い知人から、「テンポイノベーション」を知っているかと問われた。「子ども食堂の展開をサポートしている」と聞かされた。ホームページを覗いた。『みせしょく活動』という7文字と出会った。「具体的にどんな形で・・・」と問い合わせた。こんな答えが返ってきた。

 「飲食店物件に特化した不動産業を営む当社には、取引先の飲食店が2000店舗ある。取引先に呼びかけ、子ども食堂を開催して貰っている。食材費などの活動資金については支援させてもらっている」。今年5月末時点で、「総参加店舗数56」「店舗食事提供数4536」。

 改めて、テンポイノベーションの事業を調べた。こんな枠組みの展開だ。

 飲食店不動産を有するオーナーと、賃貸借契約を結ぶ(オーナー・物件情報は客付け業務代行をする不動産業者と連携)。飲食店を出店したいテナントに対しては、「居抜き店舗.com」で物件・賃料情報を開示する。逆に閉店したいテナント情報は、「店舗買り.com」で買い手希望者向けに開示される。「居抜き物件」が対象。年間400件以上の新規成約を実現している。

 オーナーにとっての魅力は契約賃料が保証される点だろう。そうでなくては、この枠組みのビジネスは成り立たない。店舗家賃保証に関しては、連結子会社の店ポセーフティが担っている。

 「小さくていい自分の店舗が持ちたい」、というのは飲食業界で働く人の切なる願い。テンポイノベーションの事業は、そうした人たちの気持ちを“くすぐる”。

 勿論、景気動向やコロナなどの社会情勢により収益動向も揺さぶられかねない。その意味で2021年3月期は「6.8%営業減益」を強いられたが、前期以降は明らかな立ち直りトレンド。22年3月期「10.4%増収、24.3%営業増益、3円増配12円配」、前23年3月期は連結開始で単純比較は出来ないが「売上高130億7000万円、営業利益12億1200万円、4円増配16円配」と期初予想を上回って着地。そして今3月期は「13.6%増収(148億4400万円)、5.3%営業増益(12億7600万円)、4円増配20円配」計画。

 作成中の時価は1150円水準、予想税引き後配当利回り1.4%。昨年終盤から右肩上がりに入り3月10日の1340円まで買われ、調整場面。押し目買い姿勢で「子ども食堂」を買ってみたい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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