創業100年、江崎グリコが取り組む社是「健康」経営の中身

2022年2月17日 16:23

印刷

江崎グリコの100周年記念サイトイメージ。(画像: 江崎グリコの発表資料より)

江崎グリコの100周年記念サイトイメージ。(画像: 江崎グリコの発表資料より)[写真拡大]

 菓子メーカー大手:江崎グリコ(東証1部)が、2月11日で創業100周年を迎えた。そう、グリコ(キャラメル)、ポッキーに代表される馴染みの企業だ。ちなみに前者は累計100億箱、後者は55億箱の販売実績を積み上げている。

【こちらも】「こてっちゃん」のエスフーズが、コロナ禍でも収益・株価好調な分け

 1世紀を超える企業にはそれだけの背景がある。そして創業理念に基づく文化が脈々と受け継がれている。創業者は、故江崎利一氏。グリコーゲン(筋肉に蓄えられる唐の一種。筋肉の収縮のためのエネルギー源とされ疲労回復効果などが認められている)に蘊蓄の深い御仁だった。

 「息子がチフスに罹った時、グリコーゲンを与えることで一命をとりとめた」ことが、研究の入り口だったと語り伝えられている。そんな江崎氏がカキの煮汁に多量のグリコーゲンが含まれていることを確認し、グリコーゲンを活かした食品の商品化に取り組み発売されたのが1922年。それが、グリコだった。「江崎グリコ」と言えば「おまけつき」で知られるが、これも江崎氏の「子供が好むものは菓子と遊び道具」という持論から誕生したと語り継がれている。

 江崎グリコでは、「食品による国民の体位向上、健康を促すという強い思いが当社の商品開発、社風のベースになっている」とする。

 健康と言えば昨今、「健康経営」とする言葉が頻繁に使われる。言葉を選ばずに言えば、「社員の健康を考えていない企業は『×』」というわけだ。

 江崎グリコは社是とも言える「健康」を、経営にも導入している。

 健康の基本を運動・栄養・休息と捉え、「必要な知識を身に着け、健康行動を実践・習慣化するというサイクルを繰り返していくという方針」(江崎グリコ)。具体的には「日々の歩数」「食事内容」「睡眠の時間・質」を記録できるヘルスケアアプリを導入。社員はアプリを活用し運動・栄養・休息のPDCA(計画・実施・評価・改善)に取り組んでいる。

 フォローも欠かさない。「歩き方セミナー」「睡眠の質を高めるセミナー」「おいしく食べられて且つ糖質を適正化するロカボ(低糖質食)セミナー」「いまに集中するためのマインドフルネス(ex瞑想)セミナー」などが定期的に行われている。

 病との取り組みに社員が前向きになる(健康検診の積極的活用)様に、専門家を招聘し各種疾患(乳がん・子宮がん・大腸がん等々)のセミナーが行われている。見てきたように書くと乳がんセミナーでは、「乳がんのしこりを再現した模型で参加者は感触を確かめる」といった具合。

 またいささか私には耳の痛い話だが・・・喫煙習慣は「循環器疾患」「呼吸器疾患」「がん」「歯周病」など様々な疾患リスクを高めるとされる。そして喫煙習慣は第二次・第三次喫煙のリスクが懸念される。江崎グリコでは2019年1月から、就業中の喫煙を禁止した。同時に「禁煙セミナー」も行い、禁煙外来で成功した社員には費用補助も始めた。

 そしてこんな事実も耳にした。長時間のデスクワークに伴う健康障害リスクが指摘されているが、全社員が1時間に1回は立ち上がって1分間のストレッチを・・・というEVERY1活動が展開されていると言う。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事