住友重機、環境・気候の変動に対応した事業ポートフォリオ転換で成長目指す

2021年10月27日 08:27

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全電動導光板専用機「SE315EV-A-LGP」(画像: 住友重機械工業の発表資料より)

全電動導光板専用機「SE315EV-A-LGP」(画像: 住友重機械工業の発表資料より)[写真拡大]

 住友重機械工業は10月18日、スマートフォンに使用する画面の光を均一に表示する導光板を製造する、新型全自動導光板専用機「SE-315EV-A-LGP」を発売した。

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 低慣性・大容量サーボモータ採用の射出装置により、射出速度を60%向上。ストレスの少ない充填が可能となり、樹脂の薄肉化と高輝度化につながり、使用樹脂の削減に貢献する。

 住友重機は、1888年に別子銅山で使用する機械の製作を担当する「工作方」として創業。1934年に住友機械製作として独立した。1969年、榎本武揚の主導によって設立された浦賀重工業と合併し、住友重機械工業となり重工業会社としての基盤を確立した。

 2021年3月期の売上高は8491億円。事業別の構成比は、建設機械が29.3%、精密機械が20.8%、環境・プラントが19.8%、機械コンポーネントが14.4%、産業機械が11.0%、船舶が4.0%、その他が0.7%を占める住友重機の動きを見ていこう。

■前期(2021年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は8,491億円(前年比1.8%減)、営業利益は前年よりも55億円減の513億円(同9.6%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、油圧ショベルの売上減と品質コストの発生により建設機械が110億円、コロナ禍による売上減で機械コンポーネントが33億円、市況低迷で船舶が6億円、その他が3億円の減益であった。

 一方、エネルギープラント、水処理プラントの売上増により環境・プラントが62億円、半導体関連の堅調で精密機械が22億円、運搬機械の売上増により産業機械が14億円の増益であった。

 今期第1四半期(4-6月)実績は、売上高2,163億円(前年同期比19.7%増)、営業利益150億円(同114.7%増)の中、今期は売上高8,700億円(前年比2.5%増)、営業利益500億円(同2.6%減)を見込んでいる。

 尚、2023年より決算期を統一することによりグローバル経営基盤の確立を目指して、12月決算への変更を予定している。

■中期経営計画(2022年3月期~2024年12月期)による成長戦略

 製品・サービスを通じた社会課題の解決、環境・気候変動対応機能の強化により価値の最大化を実現するため、事業の共通性を軸に主要事業のポートフォリオを転換し、2024年12月期に売上高9,700億円(対前期比14.2%増)、営業利益700億円(同36.5%増)へ成長を目指す。

●1.メカトロニクス事業

・2024年12月期目標売上高1,760億円、営業利益100億円
・モーションコントロールデバイスの成長促進と、ロボティクスの要素を取り入れたドライブソリューションの立ち上げ。

●2.インダストリアルマシナリー事業

・同2,580億円、280億円
・プラスチック加工機械の環境対応技術開発、電動化に伴う自動車関連事業の拡大。

●3.ロジスティックス&コンストラクション事業

・同3,340億円、200億円
・油圧ショベルの高度化したICT建機の拡大とサービス、部品需要の拡大。建設用クレーンの電動化。

●4.エネルギー&ライフライン事業

・同1,960億円、同100億円
・液化空気エネルギー貯蔵など再生エネルギー市場での事業化推進。IoT、ICT要素の実装による管理省人化。

 一般産業機械から最先端の精密機械、船舶、環境・プラント機器までをカバーする総合機械メーカーとして、「動かし、制御する」確かな技術を駆使して豊かな社会づくりに貢献する住友重機の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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