15年8月上場以来連続増配かつ株価は4倍近く、ラクト・ジャパンへの悩み

2021年6月23日 16:34

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 6月17日は71歳最後の日だった。財経新聞社にこの週最後の投稿も済ませた。週刊紙の月1回の株原稿も送付した。「開店休業」状態。夕刻に届いた会社四季報(第3集号)読みに耽った。

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 これまで名前すら知らなかった企業の頁で目が留まった。2015年8月に東証2部に上場した(現在1部)、ラクト・ジャパン。特色欄「乳原料でスタート・・・独立系食品専門商社云々」の限りでは、「次の企業に移ろう」というまさにその時だった。

 業績欄の見出し【一歩後退】にもかかわらず、記事中の「連続増配」の4文字が目に入ってしまった。財経新聞でも時折、「連続増配企業に着目」といった内容の記事を投稿してきた。見過ごしにはできなくなった。

 ラクト・ジャパンの上場直後の11月期の配当は15円配。以降、毎期連続増配。前期は8円増配30円配、そして今期も2円増配6期連続増配計画。

 ではこの間の収益動向はどうかと言うと、詳しくは四季報でご確認いただくとして常に右肩上がりではないのが現実。前期の「5.1%減収、5.9%営業減益」に続き今期も、3.8%増収(1150億円)だが「6.5%営業減益(26億円)」計画。ただ足元に限ってみると、第1四半期の実績は中間期計画「売上550億円、営業利益11億円」に対し「240億円弱、8億円強」とまずまず。

 そんなラクト・ジャパンとはどんな会社か。前期決算で売上高構成比率の高い順にみると、こんな具合。

★乳原料・チーズ: コロナウイルス禍の影響を受け、かつ仕入れ単価(原料安・円高、関税低減)で前期比8.1%減収(783億3000万円)。小中学校の休校措置で学校給食向け牛乳需要が、一時消失。巣ごもり消費効果も外食向け販売減少で補填しえず。

★食肉加工品: 輸入ポーク事業のうち、チルドポークの売上高・販売額減少。フローズンポークは巣ごもり消費増加で、家庭用向けハム・ソーセージの売上増も円高の影響で3.1%の減収。

★アジア事業: リモート営業活動で、中国・フィリピン・マレーシア・台湾・タイの取引開始もあり0.4%の増収。

 言葉を選ばずに言えば、一般の個人投資家が果たして食指を動かすかどうかには「?」を感じる。本校作成中の時価は2000円台半ば。年初来高値から10%方下値。予想税引き後配当利回り約1%。が、遡ってみて驚かされた。15年8月の上場初値700円で買ったと仮定すると、調整済み株価動向を勘案して時価は4倍近くに伸長している。「株原稿」を書く対象にするか否か、目下悩んでいる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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