三和HD、グローバル・メジャーとしてのトップブランド確立で成長目指す

2020年8月2日 17:47

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「マドモア耐風ガード」(画像: 三和シヤッター工業の発表資料より)

「マドモア耐風ガード」(画像: 三和シヤッター工業の発表資料より)[写真拡大]

 三和ホールディングスの子会社、三和シヤッター工業は7月27日、近年大型化する台風から住まいを守る、高耐風圧シャッター「マドモア耐風ガード」を発売した。従来比3倍の最大耐風圧の強度を業界で初めて開発し、戸建て住宅だけでなく、14~15階建ての中層マンションにも設置可能だ。風速88m/秒時の風圧まで耐えられ、防火性能を確保し、結露対策にも効果的な製品となっている。

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 三和ホールディングスは、1956年に高山萬司が兵庫県尼崎市に設立した三和シヤッター製作所が始まりである。住宅用窓シャッター、住宅用玄関ドア、ガレージ用ドアなどの生産を順次手がけた。

 1996年には米ガレージドア大手のオーバーヘッドドア社を、2003年には欧州ガレージドア大手のノボフェルム社を買収し、海外へ本格進出を果たした。2007年に持株会社制へ移行し、現社名へ商号変更した。

 2019年3月期の売上高は4,100億円。概算の地域別・用途別の売上構成比は、日本が54%(内住宅11%、非住宅43%)、オーバーヘッドドア社による北米が28%(住宅14%、非住宅14%)、ノボフェルム社の欧州が18%(住宅7%、非住宅11%)を占める三和HDの動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績と今期見通し

 前期は売上高が4,402億円(前年比7.4%増)、営業利益は前年よりも26億円増の342億円(同8.3%増)といずれも過去最高を更新した。

 営業利益は、国内では販売数量、価格とも上昇し29億円、米国が販売価格上昇により3億円の増益であった。一方、欧州がコストアップにより1億円、事業拡大を目指しているアジアで4億円の減益となった。

 今期は新型コロナウイルスの影響により、現段階では大幅な減収減益となる売上高3,900億円(同11.4%減)、営業利益220億円(同35.7%減)を見込んでいる。

■第3次中期経営計画(2019年~2020年度)による推進戦略

 「グローバル・メジャー」としてトップブランドの基盤を確立することを目指し、次の成長戦略を推進する。

●1. コアビジネスの事業領域拡大と強化

 ・国内では、シャッターとドアの高シェアを維持し、間仕切りやエントランス、防水など多品種化事業を拡大。

 ・北米では、ドア事業の販売チャネル拡大、開閉機事業のWi-Fi接続商品の開発を拡充。

 ・欧州では、産業用製品事業で大型物件の獲得、ヒンジドア事業はスウェーデン、英国で拡販。

●2. サービス分野の強化とビジネスモデルの拡大

 ・国内では、過去実施物件に対する検査受注拡大、トレーサビリティ対応など顧客ニーズに合わせたサービス事業を提供。

 ・北米では、直販部門の事業強化、フィールドサービスシステム導入による生産性向上。

 ・欧州では、産業用ドアを中心に事業拡大、フィールドサービスは大陸側にも順次拡大。

●3.アジア事業の基盤拡充

 ・2019年に4社を連結化、2020年に1社を連結化し、2020年3月期の売上高は64億円。21年3月期は売上高74億円と営業利益黒字化を目指す。

 ・台湾では既存工場を拡張、ベトナムでは営業・施工体制を再構築、韓国では新工場を稼働。

●4.AI、IOTによる生産性の向上、ESG経営の推進

 ・気候変動に対応し、災害から身を守る防災商品の開発。

 日本、米国、欧州で高シェアの事業を多く抱え、グローバル化、多品種化、サービス化で業績拡大を目指す三和HDの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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