鹿島が目指す新しい都市農業モデルとは 東京・狛江市で実証試験を開始

2015年11月15日 16:51

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 CSA (地域が支える農業/Community Supported Agriculture) の取組みは、欧米を中心に、消費者が地場の生産物を定期的に直接購入し、地域の農業を支援するシステムとして拡大してきた。 最近では、生産物の売買だけでなく農作業の手伝いなどを通して、生産者と周辺のコミュニティを結びつけ、より強固な関係を築く取組みが試みられている。

 今回、鹿島建設<1812>は、東京都狛江市とともに、狛江版CSA発足準備協議会を立ち上げ、国土交通省「集約型都市形成のための計画的な緑地環境形成実証調査」に対し「循環型まちづくりのための農空間の活用方法に関する実証調査~狛江版 CSA~」を提案し、採択された。2016年2月までの予定で、狛江市内において地域が支援する都市農業モデルの実証試験を行っている。

 東京都区部に隣接する東京都狛江市をフィールドとして、市内の農業従事者、飲食店、学校などの協力の下、食品残渣の循環利用や農地・公園の循環型維持管理を試験的に実施。これは、農地や農業を循環型まちづくりに活用する狛江オリジナルのCSAを提案するもの。

 実証試験では、(1)循環型の農業 (2)環境負荷を低減する農業 (3)地域に支えられた農業 をコンセプトに、主に3つの取組みを通じて、狛江市民と農業従事者をつなぐ新しい仕組みづくりを行っている。

 一つ目はミミズコンポスト。農地から発生する野菜残渣や近隣の飲食店から発生する調理屑などをミミズによって短期間で堆肥化する。ミミズ堆肥を使って農業生産を行うことで、市内で発生する生ごみを減量し、地産地消の野菜を生産する循環型農業となる。

 二つ目はコーヒー滓ヒラタケ栽培。市内の飲食店から発生する、通常はゴミとして廃棄されてきたコーヒー滓を回収し、ヒラタケの培地として再利用する菌床栽培を実施。収穫したヒラタケは市内の飲食店で使うことにより新しい資源循環の仕組みを構築できる。また、使用済みの菌床は良質な肥料として農地へ戻し循環利用している。

 三つ目はヒツジ除草。ヒツジによって市内の農地や緑地の除草を行う他、農地から発生する野菜屑を処理。機械除草による騒音や植物性廃棄物、CO2の排出をなくすトリプルゼロの除草を行いながら、農産物非食用部の処理も行える循環型の取組みである。

 狛江版CSA発足準備協議会は農業従事者、飲食店関係者、市民が参加する中間報告会を10月2日に狛江市役所にて開催した。今後、市内の小学校で循環型まちづくりと農業に関連する環境教育を実施するとともに、ヒツジは10月中旬まで、ミミズコンポストとコーヒー滓ヒラタケは来年2月まで試験を継続する予定。また、2016年2月7日に協議会が開催する最終報告会を一般公開する予定である。(編集担当:慶尾六郎)

■関連記事
衆参ダブル選挙に可能性
600超の機関投資家が活用するCDPの環境意識調査で、日本企業3社がA評価
農業対策「バラマキ」懸念 閣僚・与党議員も
「CEATEC」で異彩を放つ“イノベーションの都”京都の企業群は“研究開発型企業”
TPPで日本農業は一大転機・消える兼業

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事