高齢化が進み「スマート農業」国内市場は20年には308億4,900万円規模に

2015年4月19日 21:30

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記事提供元:エコノミックニュース

 スマート農業とは、従来からの農業技術と連携させることで、さらなる生産の効率化や農作物の高付加価値化を目指すものを指す。農林水産省の活力創造プランでは、「異業種連携による他業種に蓄積された技術・知見の活用、ロボット技術や ICT を活用したスマート農業の推進、新たな品種や技術の開発・普及、知的財産の総合的な活用、生産・流通システムの高度化などにより、農業にイノベーションを起こす」としている。

 農林水産省のデータによると、国内の農業従事者は168万人(2014年)で、この内65歳以上が約6割を占め、高齢者の割合が著しく高い。また農産物の輸入自由化が進む中で、国際競争力を確保するために、より一層の農作物の品質向上や、生産コストの削減を図ることが課題となっている。このような国内の農業が抱えている課題や問題点を解決するために、農業の生産から販売まで情報通信技術を活用した、高い農業生産性やコスト削減、食の安全性や労働の安全等を実現できるスマート農業が必要とされている。

 矢野経済研究所では、情報通信技術を利用した農業・畜産業の動向を踏まえ、国内におけるスマート農業について調査を実施した。調査期間は2014年12月~2015年3月、調査対象はスマート農業参入事業者、農業法人、全国農業協同組合連合会(JA)、関連団体・協会、管轄官庁など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailなどによるヒアリング調査および文献調査を併用した。

 それによると、2013年度のスマート農業の国内市場規模は66億1,400万円であり、2016年度123億6,000 万円、2020年度には308億4,900万円まで拡大すると予測した。今後のスマート農業市場は、2014~2016年度は農業クラウド・複合環境制御装置・畜産向け生産支援ソリューションなどの栽培支援ソリューションが牽引し、2016年度以降は、気象予測と連携した販売支援ソリューションや経営支援ソリューションが拡大すると見られる。また 2018年から準天頂衛星システムが4台になり、3次元位置情報の入手が可能になることから、精密農業が拡大すると予測している。

 スマート農業の普及には、導入・維持コストの低減と併せて、情報入力作業の簡素化が大きな課題である。そのためには、農業機械における情報通信規約(プロトコル)の共通化と標準化が重要である。現在、政府・大学・研究機関・参入企業等が協業し、農業オープン・クラウド・プラットフォームを構築することで、農業機械作業データの標準化・データ情報の共有化を目指している。このようなオールジャパンの取組みを推進することで、今後の農作物の輸出を見据えた、本格的な世界の食市場への進出が期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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