超新星爆発の前兆を150日前に捉える ストックホルム大らの研究

2024年2月2日 16:49

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 オリオン座のベテルギウスは、過去数年の間、超新星爆発が起きるのではと世間を騒がせたが、残念ながら現在の人類の科学では、それが起きる時期を具体的に予測することは不可能だ。その理由は、超新星爆発の予兆も含めた観測データがあまり存在しないことと、一言で超新星といっても様々な種類があり、予兆パターンが多様に異なる可能性があるからだ。

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 ストックホルム大学の科学者を筆頭とする国際研究チームは、2023年に発見された超新星SN 2023fyqにおいて、爆発の150日前から超新星爆発の瞬間に向けて指数関数的に光度の増加がみられたとの研究結果を発表した。

 超新星爆発は、我々の天の川銀河で1世紀に1度あるかないか程度の頻度でしか起こらない。だが宇宙には無数の銀河があり、超新星爆発は非常に明るいため、実は最近の観測技術の発達によって、頻繁に発見されるようになった。現に2022年には100億光年彼方の宇宙で起こった超新星爆発が観測されている。

 このような状況の中、超新星爆発がどの星で発生するのかを予測することへの可能性にも、期待も高まりつつある。

 今回の研究は、Ibnと呼ばれるカテゴリーに分類される比較的珍しいパターンの超新星爆発に関するもので、あらゆる超新星爆発に当てはまるものではない。だがたとえ1つのパターンにおける情報であったとしても、超新星爆発の予兆を具体的に捉えた価値のあるものであることに間違いない。

 この発見はZwicky Transient Facility(ZTF)と呼ばれる官民パートナーシップによる観測データからもたらされたものだ。ZTFは、北半球にある複数の巨大望遠鏡において、2日に1度の頻度で北半球全天を観測する取り組みで、超新星爆発の発見や予兆の追跡調査に役立つことが期待されてきた。

 今回の発見は始まりにすぎず、様々なパターンの超新星爆発の予兆を追跡データとして蓄積してゆくことで、やがてはベテルギウスの爆発の予兆を捉えて、正確に超新星爆発の時期を予測することが可能になるかもしれない。

 なお今回の研究成果は、科学論文サーバーarXivで公開されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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