AI活用により超新星爆発現象を高速で再現成功 東大らの研究

2023年10月24日 08:38

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天の川銀河(左)の直径は約10万光年、超新星爆発形成シェル(右)は100光年と、両者には1000倍のスケール差がある。銀河円盤が一回転周期は数億年、超新星爆発シェル膨張は数千年でこれらのタイムスパンには10万倍もの差がある。(c) NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt、平島敬也

天の川銀河(左)の直径は約10万光年、超新星爆発形成シェル(右)は100光年と、両者には1000倍のスケール差がある。銀河円盤が一回転周期は数億年、超新星爆発シェル膨張は数千年でこれらのタイムスパンには10万倍もの差がある。(c) NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt、平島敬也[写真拡大]

 超新星爆発は、一定量以上の質量をもった恒星の終末期に起こる現象で、銀河形成にも大きな影響を与える現象だ。また銀河の形成を語るためには、数億年以上のタイムスパンで現象を追跡する必要があるが、超新星爆発のタイムスパンは数千年規模で、両者には10万倍以上のスケール差がある。加えて、天の川銀河直径は10万光年程度だが、超新星爆発で形成されるシェルの大きさは100光年程度で、銀河と超新星爆発の距離的スケールにも1000倍もの差がある。

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 これは、超新星爆発再現シミュレーションのために、銀河モデルの10万倍以上のタイムスケール細分化と、1000倍以上の距離的スケール細分化が必要になることを意味する。さらに距離的スケールの細分化は、3次元問題では3乗で効いてくる。

 つまり距離的スケールで1000倍の細分化は、1000倍の3乗、10億倍の解析時間を要する話になるのだ。要するに超新星爆発を加味した銀河形成モデルの解析は、超新星爆発の解析が非常に大きなネックとなることを意味する。

 東京大学、東北大学、神戸大学らの研究者は23日、AI活用により、超新星爆発現象を高速で再現することに成功したと、発表した。この手法は、3D-MIM(3D-Memory In Memory)と呼ばれる解析モデルで構成され、銀河形成シミュレーションの中でも多くの計算資源を必要とする超新星爆発の高速再現を、可能にしたという。

 3D-MIMには、深層学習モデルというAI手法が用いられ、超新星爆発シミュレーションデータを大量学習しており、超新星爆発に伴うシェル膨張と密度変化の高速再現を実現した。

 これにより、銀河形成モデル中で超新星爆発の影響を直接受ける領域を予測し、計算遅延を起こす可能性のあるエリアを事前に特定。そこに特化した最適化アルゴリズムの適用で、計算効率の大幅向上も期待できる。このアプローチにより、銀河内のひとつひとつの星の動きまで非常に詳しく再現したシミュレーションも将来可能となるという。

 この研究でのAI活用は、人間の優れた能力である経験と勘を過去の膨大なデータの蓄積によって、コンピューターで再現できるようにしたものと考えれば、分かりやすいのではないだろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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