会話で役立つ日常的な表現:イギリス英語のスラング特集 (10)

2023年9月18日 07:42

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 イギリス英語のスラング特集、第10弾の今回は、スラングというよりイギリスでの慣習的な表現を1つと、若い世代で広がっているスラングを1つ紹介しようと思う。特に前者はアメリカ英語と違うため、知らないと戸惑うかもしれない。しっかり覚えておこう。

【前回は】イギリス人なら誰もが知っている! イギリス英語特有のスラング特集 (9)

■Half past

 これはスラングというより、イギリス的な時刻の表し方のことである。

 アメリカ英語では、時刻を表すとき「seven thirty」(7時30分)や「five fifty」(5時50分)のように具体的な数字を使う。それに対してイギリス英語では、同じ時刻を表すのでも「half past seven」(7時半)と表現することが多い。また、5時50分は「ten to six」(6時の10分前)のように表現する。

 こうした表現は、おそらくアナログ時計を見るときの感覚にもとづいているのだろう。針が時計の右側にあるときは「past」、左側にあるときは「to」を用いて、より近い正時を示すわけだ。

 「◯時半」以外の言い方も確認しておこう。「1時10分」や「1時20分」の場合、「ten past one」、「twenty past one」となる。15分の場合は「quarter」を使い、「quarter past one」のように表現する。

 なお文脈がはっきりしている場合、時刻を省略して単に「half past」や「quarter past」、「ten to」とだけ言うことも少なくない。

 たとえば、誰かと映画を見に行って、上演前に1人が「What time does the movie start?」(映画は何時に始まるの?)と尋ねたとしよう。お互い話している時間はわかっている場合、もう1人は、時刻の部分を省略して、単に「It's at quarter past.」(15分過ぎに始まるよ)のように答える。カジュアルな会話でよく聞かれる表現だ。

■Innit

 「innit」とは「isn't it」の略語で、特に若い世代でよく使われるスラングだ。

 ・It's really cold today.(今日はほんとに寒いね)
 ・Innit.(そうだね)

 このように、相手の言ったことに対して同意や確認を示すときに使われる。

 英語の付加疑問文(tag question)は、主文の主語と動詞によって形が変わり、また、主文が肯定文なら否定形、肯定文なら否定形にするというルールがある。慣れるまで少々ややこしいのだが、このスラングの場合、主文がどんな形であれ常に「innit」になるのだ。

 以下にいくつか例を示そう。カッコ内が正しい付加疑問文の形である。

 ・It's a nice day, innit (isn’t it)?
 (いい天気だね)
 ・You're coming with us, innit (aren’t you)?
 (君も来るよね?)
 ・He hasn’t done his homework, innit (has he)?
 (彼、まだ宿題やってないよね?)

 このように、「innit」はさまざまな文脈で使える非常に便利なスラングだ。先に述べたように、特に若者言葉としてイギリスでよく耳にする。ただし、あくまでスラング的な表現であって、学校の試験などでは不正解にされるかもしれないので注意してほしい。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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