【どう見るこの株】古野電気は目先的な売り一巡、24年2月期大幅営業増益予想で収益回復基調

2023年4月24日 10:35

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 古野電気<6814>(東証プライム)は1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功し、現在は世界80カ国以上に販売拠点を有する世界規模の舶用電子機器総合メーカーである。23年2月に策定した中期経営計画(フェーズ2)では、基本施策として利益水準の向上、売上規模の拡大、サステナブル経営の実行を推進する方針としている。23年2月期は販管費の増加などで減益だが、需要は堅調だった。24年2月期は舶用事業を中心に拡販を推進して大幅営業増益予想としている。積極的な事業展開で24年2月期は収益回復基調だろう。株価は23年2月期利益の下振れや24年2月期の減配予想を嫌気して1月の年初来安値に接近している。ただし低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■世界規模の舶用電子機器総合メーカー

 舶用電子機器を主力に、産業用電子機器なども展開している。1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功し、現在は世界80カ国以上に販売拠点を有する世界規模の舶用電子機器総合メーカーである。

 セグメント区分は舶用事業、産業用事業、無線LAN・ハンディターミナル事業、その他としている。23年2月期のセグメント別売上高構成比は舶用事業が83%、産業用事業が12%、無線LAN・ハンディターミナル事業が5%、その他が0%、営業利益構成比は舶用事業が82%、産業用事業が8%、無線LAN・ハンディターミナル事業が34%、その他が▲6%、調整額が▲18%だった。全社ベースの地域別売上高構成比は日本が36%、米州が11%、欧州が27%、アジアが21%、その他の地域が6%だった。

 舶用事業は商船向けのレーダー、ECDIS(電子海図情報表示システム)、衛星通信装置、漁業向けのソナー、魚群探知機、潮流計、無線機器、プレジャーボート向けのレーダー、ネットワーク対応航海機器、GPSプロッタ魚探、オートパイロットなどを展開している。産業用事業はヘルスケア分野の生化学分析装置、OEM・ETC等分野のETC車載機器、GNSSタイミング製品など、無線LAN・ハンディターミナル事業は無線LANアクセスポイント、無線ハンディターミナルなど、その他は電磁環境試験などを展開している。

■中期経営計画(フェーズ2)

 18年12月に策定した経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」では、事業ビジョンを「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」、人財・企業風土ビジョンを「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」と定め、経営目標を最終年度31年2月期連結売上高1200億円、営業利益率10%、新規事業構成比率30%としている。

 目標達成に向けた基本戦略は3つのフェーズに分けて、フェーズ1(21年2月期~23年2月期)の「変える」では事業の体質改善による資源の捻出・体力強化、フェーズ2(24年2月期~26年2月期)の「つなぐ」では技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動、フェーズ3(27年2月期~31年2月期)の「変わる」ではあるべき企業規模・収益性・事業構造の実現に取り組むとしている。

 そして23年2月に中期経営計画(フェーズ2、24年2月期~26年2月期)を策定した。最終年度となる26年2月期に、安定的に自己資本経常利益率10%以上(10年2月期~18年2月期の平均自己資本経常利益率は6%)を計上し、配当性向30%以上を継続できる経営基盤の構築を目指すとしている。

 基本施策としては利益水準の向上、売上規模の拡大、サステナブル経営の実行を掲げている。利益水準の向上では、収益性改善に焦点をあてたフェーズ1中計の取り組み(品質水準向上、在庫適正化、商品開発機能・総合モノづくり機能の最適化)の完遂を推進する。売上規模の拡大では、リモート管理による高品質なサービスの提供、舶用DXの推進、成長期待事業へのリソース投下等を推進し、成長投資のさらなる資源捻出を図る。サステナブル経営の実行では、未来に向けた将来事業の道標となる長期方針を表明し、戦略的な投資枠を活用した事業創出の強化、新規事業・領域拡大事業の早期事業化、人財投資、ダイバーシティ等を推進することでサステナブル経営の実現を目指すとしている。

 舶用事業の事業戦略としては、グローバル販売体制の最適化や市場に近い現場での製品・ソリューション開発強化による新たなグローバル戦略の進化、サービス品質のさらなる向上や予兆サービス・リモートメンテナンスの促進による顧客満足度と収益力向上、養殖や洋上風力など新たな取り組み分野での事業展開加速、データを活用した製品・サービスの市場投入による新たな顧客価値の創造を推進する

 産業用事業は事業ポートフォリオを見直し、防衛装備品事業やモバイル基地向け時刻同期事業など、市場の成長が見込まれる成長期待事業にリソースを集中させて収益向上を図る。無線LAN事業は、無線LANアクセスポイントの文教市場でのさらなるシェア拡大とともに、顧客の求めるDXの実現に貢献する新たなシステムソリューションの展開により、新市場開拓や事業領域拡大を目指す。

 なお健康経営優良法人制度において、健康経営優良法人(大規模法人部門)認定法人の中で上位500法人が認定される「ホワイト500」に、19年度から5年連続で認定されている。

■23年2月期は減益着地、24年2月期は大幅営業増益予想

 23年2月期の連結業績は売上高が22年2月期比7.7%増の913億25百万円、営業利益が39.8%減の15億23百万円、経常利益が30.2%減の25億93百万円、親会社株主帰属当期純利益が52.1%減の13億48百万円だった。配当は22年2月期比15円減配の25円(第2四半期末10円、期末15円)とした。配当性向は58.5%となる。

 為替の円安も寄与して舶用事業の海外売上を中心に増収となり、売上総利益率も向上したが、舶用事業における連結対象会社増加やサービス・開発力強化に向けた増員など、成長投資で販管費が増加したため営業利益は大幅減益だった。売上総利益率は37.6%で0.3ポイント上昇した。部材価格高騰影響を増収効果や価格転嫁で吸収した。販管費比率は36.0%で1.7ポイント上昇した。研究開発費は4.3%増の56億94百万円、設備投資額は52.7%減の22億07百万円、減価償却費は3.2%減の30億61百万円だった。

 営業外収益では為替差益が2億52百万円増加したが、補助金収入が4億54百万円減少した。親会社株主帰属当期純利益については法人税等調整額▲4億69百万円も影響した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来基準との比較で売上高が6億26百万円増加、売上原価が3億30百万円増加、営業利益が2億95百万円増加、経常利益および税金等調整前当期純利益が3億49百万円増加している。

 舶用事業は売上高が7.4%増の757億25百万円で営業利益(全社費用等調整前)が55.0%減の12億48百万円だった。売上面は日本(1.0%減収)で漁業向けが減少したが、北米(8.4%増収)や欧州(10.2%増収)のプレジャーボート向け、アジア(7.9%増収)の漁業向けや商船向けなど海外販売が好調に推移し、連結対象会社増加(22億円増収要因)も寄与して増収だった。利益面は部材入手困難に伴う生産遅延による販売機会喪失が継続したことに加えて、部材価格高騰の影響や販管費の増加などで減益だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として売上高が4億50百万円増加、営業利益は3億66百万円増加している。

 産業用事業は売上高が6.9%増の111億02百万円で営業利益が1億28百万円(22年2月期は23百万円の赤字)だった。OEM・ETC等分野(8.9%減収)でETC車載機器や携帯電話基地局向けGNSSタイミング製品の販売が減少したが、ヘルスケア分野(20.3%増収)で生化学分析装置の販売が増加し、ヘルスケア分野の研究開発費減少も寄与して黒字化した。なお収益認識会計基準適用の影響額として売上高が1億39百万円増加、営業利益が96百万円減少している。

 無線LAN・ハンディターミナル事業は売上高が17.0%増の41億55百万円で営業利益が15.4%増の5億14百万円だった。文教市場のリプレイス向けで無線LANアクセスポイントの販売が好調だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として売上高が36百万円増加、営業利益が25百万円増加している。その他事業は売上高が8.8%増の3億41百万円で営業利益が88百万円の赤字(同3億59百万円の赤字)だった。

 24年2月期連結業績予想は、売上高が23年2月期比6.2%増の970億円、営業利益が31.2%増の20億円、経常利益が3.6%減の25億円、親会社株主帰属当期純利益が前期の法人税等調整額の影響一巡で48.4%増の20億円としている。配当予想は23年2月期比5円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。予想配当性向は31.6%となる。

 部材価格高騰の影響が継続するものの、国内外での売上拡大により増収・大幅営業増益予想としている。為替レートの想定は1米ドル=125円、1ユーロ=130円で、研究開発費は3.4%減の55億円、設備投資額は13.3%増の25億円、減価償却費は1.3%増の31億円の計画としている。

 セグメント別の計画は、舶用事業の売上高が6%増の805億円(日本が210億円、米州が100億円、欧州が250億円、アジアが190億円、その他地域が55億円)で営業利益が20%増の15億円、産業用事業の売上高が8%増の120億円(OEM・ETC等が65億円、ヘルスケアが25億円、産業用その他が30億円)で営業利益が2億円(23年2月期は1億28百万円)、無線LAN・ハンディターミナル事業の売上高が8%増の45億円で営業利益が3億円(同5億14百万円)としている。

 舶用事業は、日本では漁業向けや商船新造船向けの拡販を推進する。米州ではプレジャーボート向け、欧州ではサービスと商船換装向けが好調に推移し、アジアも商戦新造船回復で堅調に推移する見込みとしている。産業用事業は、OEM・ETC等ではETC車載機器やGNSSタイミング製品の回復、ヘルスケアでは生化学分析装置の堅調推移、産業用その他では官公庁案件の増加を見込み、無線LAN・ハンディターミナル事業では文教向け案件の堅調推移を見込んでいる。

 23年2月期は販管費の増加などで減益だが、需要は堅調だった。24年2月期は舶用事業を中心に拡販を推進して大幅営業増益予想としている。積極的な事業展開で24年2月期は収益回復基調だろう。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は23年2月期利益の下振れや24年2月期減配予想を嫌気して1月の年初来安値に接近している。ただし低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。4月21日の終値は901円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円36銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BP1651円04銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約270億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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