長寿社会の備えにもなるリスキリングや学び直し、サラリーマンでも使える給付金も

2023年3月14日 11:26

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 長生きの時代が進みつつあり、将来的な老後資金の途絶に備えるための資産形成の重要性が叫ばれて久しい。資金面の確保と同時に、最近では長く働くために必要なスキル確保についても推奨されている。いわゆる「リスキリング」や「学び直し」とも呼ばれる制度だ。

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 企業がDX対応のため率先して行うリスキリングでは、個人が負担する費用はない(または少ない)ことがほとんどである。その場合でも専門的なスキルを身に着けられるため、定年後の再雇用や再就職に十分活かせるのではないだろうか。社内の制度を利用して、在職中に知識やスキルを向上させておく良い機会と言える。

 企業が独自にリスキリングを進める場合、国や自治体単位で補助金を交付している。所定の要件を満たす場合には補助金など金銭的な助成が受けられるため、企業側もリスキリングを促し高度な人材確保がかなえられることになる。リスキリングに際して企業が受けられる補助金や助成金の一例として、厚生労働省による人材開発支援助成金や、東京都におけるDXリスキリング助成金などがある。

 これとは別に、サラリーマンが働きながら独自に専門分野の学びを深めるために使えるのが、雇用保険上の制度である「教育訓練給付制度」である。厚生労働大臣が指定した講座を受講する場合に制度の対象となり、対象講座は1万4,000講座にものぼる。IT分野から語学、医学、法律、土木など対象となる講座は多岐にわたるため、教育訓練講座検索システムで検索してみることをおすすめしたい。

 この教育訓練給付制度には3種類あり、もっとも補助率が高いのが「専門実践教育訓練」で、最大で受講費用の70%が補助される。対象となるのは看護師や保育士など業務独占資格の取得を目指す場合や、デジタル関係の講座、大学院(MBA含む)や大学課程で学ぶことも対象となる。

 このほか、特定一般教育訓練では受講費用の40%で、FPや行政書士、宅建士など人気の資格取得も対象となる。一般教育訓練では受講費用の20%を上限としており、英検や簿記、土木や建築の施工管理に関する資格なども対象となる。

 相談や申請先は最寄りのハローワークで、自身がこの制度の利用対象かどうかを調べておくと安心だ。まず大前提として、雇用保険に加入していることが挙げられ、加入期間や過去の職業訓練等の利用状況によって制度の利用可否がわかる。

 長生きの時代に備えるには、資金面のリスクに備えるための資産形成は欠かせない。同時に1日でも長く働いて収入を得続けるために、早い段階から定年後の働き方も見据えた準備が必要ではないだろうか。

 今回紹介したような公的な給付等も活用し、少なくとも金銭的な不安は軽減しながら学び直しへの意識を高めておくことをおすすめしたい。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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