円建て個人年金保険、投資に抵抗がある人こそ積極的に検討を

2021年9月6日 07:27

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 なにか老後資金対策をした方が良いとわかっていても、これまで投資経験もなく、いきなり始めるのも不安と考える人は少なくないのではないだろうか。この場合、考えたいのは「なぜ投資をしたくないのか」という自身の中の答えを見つけることである。

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 もし投資をしたくない理由が「投資の失敗による資産の減少リスク」であれば、限りなくリスクを低減させた資産運用商品がある。生命保険の一種である「個人年金保険」である。

 個人年金保険の中でも、万が一の時のリスク減少に備えるには円建てを選ぶと良い。外貨建て個人年金保険は、為替レートが順調な時は良いが、そうではない場合、将来の受取額に影響がでることがある。これまで投資を避けてきた人にとっては、不向きな商品でるといえる。

 一方、円建て個人年金保険は、加入時から将来の受取額が確定しているため、加入後の経済情勢などの影響を受けにくい。一般的な個人年金保険は20歳から加入できる場合が多く、社会人になってすぐに加入することをおすすめしたい。なぜなら、将来の受取額を高額に設定しても、若いうちに加入しておけば、払込満了までの期間が長いことで1カ月あたりの保険料を抑えることができる。

 また、個人年金保険に加入すると、払込期間中は「個人年金保険料控除」の適用となり、所得税および住民税の軽減につながるというメリットもある。個人年金保険料控除は、生命保険料控除とは別に設けられている制度であるため、生命保険料控除と重ねて優遇を受けることができる。控除の手続きも簡単で、会社員では年末調整、個人事業主では確定申告の際に同時に可能。

 個人年金保険とは、将来受け取ることができる公的年金の上乗せができ、生命保険を活用した老後資金確保を目的とした商品である。払込満了後の個人年金受け取り期間に応じて「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3タイプに分けられる。

 資産運用上の観点から考えると、おすすめは「確定年金」である。確定年金とは、10年間または15年間など一定の期間に渡って、年額で個人年金を受け取る仕組み。有期年金も同じ仕組みだが、大きく違うのは年金保険料受取人が死亡した時の年金額の取り扱いである。

 確定年金では、受取人が死亡した際には遺族に残りの年金が支払われるが、有期年金では遺族に支払われず本人が生存中に限り受け取ることができる。自身がもらえなかった個人年金が、遺族に支払われるのであれば、確定年金はムダがない商品といえる。

 一方、単身世帯の場合で、特に遺族に遺さなくても良いと考える場合は、有期年金を選んでも良いだろう。自身の生存中だけ年金がもらえる仕組みであるため、その分確定年金よりも保険料が割安で合理的である。終身年金は、可能であれば検討しても良いが、生存中一生もらえる仕組みであるため、保険料が割高である。

 これまで投資をしていなかった人でも、自身のライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で個人年金保険の加入を検討してみてはいかがだろうか。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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