新型コロナ感染者、抗体は一定期間維持されることが明らかに 東大らの研究

2021年2月14日 08:12

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信ずタコロナウイルス感染患者におけるSARS-CoV-2に対する抗体価の変動(画像: 東京大学の発表資料より)

信ずタコロナウイルス感染患者におけるSARS-CoV-2に対する抗体価の変動(画像: 東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 現在世界中で流行している新型コロナウイルス感染症について、感染した患者の抗体が維持されるかどうかは収束に向けて重要な知見である。東京大学や日本医療研究開発機構らの共同研究グループは12日、感染症患者における抗体の変化について調査を行った結果、抗体は少なくとも発症後3から6カ月間は維持されることが明らかになったと発表した。この知見によれば、一度感染した患者は、少なくとも一定期間は再感染する可能性は低いということになる。

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 新型コロナウイルスのパンデミックが発生した初期では、抗体が1カ月程度で大きく減少する可能性が示唆されており、1度感染した患者も、容易に再感染が起こるのではないかとの懸念があった。

 そのような背景から、研究グループは感染した患者39名から定期的に採血を行い、その血中の抗体量変化を調査した。各種抗体の量は、発症後の20日目ごろがピークとなり、その後は緩やかに減少する傾向が見られたという。だが3から6カ月間は、一定以上の抗体が維持されることが判明。特に重症患者は、初期の抗体量は多いが、時間が経過するにつれて軽症者との抗体量の差は小さくなることも分かった。

 従来にも感染症患者の抗体の量については調査が行われてきたが、各調査における抗体検出の感度によって異なる結果となっていた。抗体が直ちに消滅するという結果となった調査では、検出感度が低い測定法を用いていたことが要因であると推測される。そのため、実際には抗体が持続しているにも関わらず、消失したかのように観測された結果となった。

 今回の研究成果から、新型コロナウイルスに感染した場合に半年程度は抗体が維持されることが明らかになった。一方で、少数ではあるものの新型コロナウイルスへの再感染の事例も報告はされている。感染した際に十分に抗体が生成されない可能性も考えられることから、その原因となる因子についても調査が必要としている。

 今回の研究成果は、12日付の「EClinical Medicine」誌オンライン版に掲載されている。

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