新シーズン開幕 スペインリーグで躍動する日本人プレーヤーたち

2020年9月23日 14:12

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 サッカースペインリーグは今季、所属する日本人プレーヤーが4人となり、これまで以上の注目を集めている。乾貴士、岡崎慎司、久保建英の3人は開幕からピッチに立ち、それぞれの持つ特徴を発揮している。タイトル獲得や1部残留など、チームの目標も様々である中、世界屈指のリーグを舞台に日本人選手の活躍が大きな楽しみと言えるシーズンを迎えた。

■欧州で築いた地位をさらに強固なものに

 スペインで6シーズン目となる乾は今季もエイバルのユニフォームを纏い、攻撃的ポジションでチームを牽引している。

 先日のビジャレアル戦でもビッグチャンスに絡んでいる。前半、自陣からのゴールキックに反応し、絶妙なトラップでボールをコントールすると強引にドリブルでペナルティエリア内に持ち込み、シュートまで持っていった。キーパーに止められ今季初得点はならなかったものの、力強くゴールに向かう乾の持ち味が発揮された場面だった。

 エイバルには開幕直前に武藤嘉紀も加入しており、クラブにもより注目が集まる中で、主力としてのプレーが求められている。日本人で初めてスペインリーグに定着したプレーヤーとも言える乾が、今季もさらに躍動する姿がみられるのではないだろうか。

 昨年は自身初となるスペインの地で2部リーグを戦った岡崎も、引き続きウエスカでスペイン2年目となる。無論、今季は1部昇格を果たしたウエスカにおいて、中心プレーヤーとしての大きな期待がかけられている。

 昨季2部で12得点を挙げ優勝と昇格に貢献し、鋭い得点感覚が健在であることを証明した。また34歳となった現在でも変わらず攻守に渡り献身的な動きをピッチで披露し続け、もはやチームには無くてはならない存在となっている。劣勢に回る展開が多いここまでのゲームでは、相手ゴール前でのプレーが限られるも2試合とも先発フル出場を果たしている。9月13日のリーガ初戦となったビジャレアル戦では、久保とのリーガ史上初となる日本人同士のマッチアップもみられ、大きな話題となった。

 欧州主要リーグ4カ国目での戦いも日本人では未踏の領域である中で、34歳のベテランはこれまで同様、スペインでも確かな足跡を残し続ける。

■2試合でのアピールは成功、さらなる結果を

 久保建英はエイバル戦では後半40分からピッチに立ち、すぐさま精力的に前線からのプレスをみせていた。さらに攻撃面でもボールを呼びながらディフェンスラインの裏へ飛び出し、ドリブルでのボールキープから速いクロスをゴール前に送りチャンスを演出している。

 正確に味方へつなぐパスで起点にもなり、終了間際にはシュートも放つなど短い時間ながらもはっきりと存在感を示した。首脳陣へのアピールとしても充分に説得力のある働きだったと言えるだろう。

 開幕から2試合とも終盤での途中出場でありながらも、確実に自身の居場所を確保しつつある中で、ここからはより明確な「結果」が必要となってくる。今シーズンはクラブタイトルを狙うための戦力としての移籍だったこともあり、個人としても昨年の数字(4得点4アシスト)以上のパフォーマンスが求められるのは確かだ。クラブ、個と、いずれも上のステージを目指す中でも、19歳の久保はそれらを実現させていけるだけの潜在能力を秘めているはずだ。

 27日の第3節では古巣とも言えるバルセロナとの対戦を迎える。主力の移籍騒動などもあり変革期を迎えているとはいえ、巨大戦力を誇るビッグクラブであることに変わりは無い。挑む立場であるからこそ、久保の真価が問われる1戦になりそうだ。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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