新型「Kindle Oasis」発売 日本の電子書籍市場の今

2019年7月23日 18:51

印刷

7月24日に発売されるKindle Oasisの新モデル。(画像: アマゾンジャパンの発表資料より)

7月24日に発売されるKindle Oasisの新モデル。(画像: アマゾンジャパンの発表資料より)[写真拡大]

 Amazonは電子書籍リーダーKindleの最新モデルとして、「Kindle Oasis」の新型を7月24日に発売する。Kindle Oasisは、Kindleの最上位モデルとして2016年にデビュー。今回リリースされる新型は第10世代に当たり、Oasisシリーズとしては3作目となる。

【こちらも】Microsoft Store、電子書籍から撤退 購入者には全額返金へ

 Kindle Oasisの特色といえば、防水対策が施された本体と7インチの大画面。さらに旧モデルからの変更点として、色調調節ライトと明るさの自動調整機能を新たに搭載、バッテリーも、1回の充電で最大6週間利用できるほど大容量となった。本体サイズは15.9x14.1cm、厚さ3.4~8.4mm、本体重量188gと軽量コンパクトなので、持ち運びもしやすい。

 Kindle Oasisは、従来よりも長い時間、場所を選ばず目に優しい環境で読書を楽しめるようになった。Amazonは売上データを非公開としているため、これまでどのくらいKindle端末が売れたのかはわからない。しかしKindleが、電子書籍の利用者拡大に大きく貢献していることは確かだ。

 そんなKindleがサービスを開始から約9年、日本での電子書籍における草分けとして確固たる地位を確立している。多くの電子書籍サービスが登場しては消えていく中で、シェア首位の座を守り続けている。ただし、国産の競合サービスも多様な定額制サービスを展開しているため、競争は激化する一方だ。

 出版不況と言われる昨今、書籍全体の市場規模は縮小しているが、全国出版協会によると、2018年の電子書籍市場規模(推定)は前年比11.9%増の2,479億円を記録。毎年2桁成長が続いており、市場規模は急拡大している。特に近年著しく伸びているのが、ライトノベル系、ビジネス書、実用書、写真集などのジャンルだという。

 2018年は売上増加の要因として、最近元運営者が逮捕された「漫画村」など海賊版サイトの閉鎖もあげられる。講談社が民事訴訟を起こしていた「はるか夢の址」も運営者に実刑判決が出ている。

 電子書籍市場を拡大していくには、こうした海賊版サイトの取り締まりは欠かせない。しかし法の目をかいくぐるように、違法な海賊版サイトは続々と登場し、いたちごっことなっている。

 Kindleのような電子書籍サービスは、24時間365日、好きな時に好きな書籍を購入できるという大変便利なものだ。しかし紙の書籍に比べて発売日が遅いことが多いなど、普及へのハードルはまだ残る。

 縮小傾向にあるとはいえ、紙の出版市場は2018年でまだ1兆2,921億円と電子書籍の5倍以上ある。今後電子書籍市場がどのように推移していくかは、海賊版サイトの取り締まりだけでなく、どれだけ読者のニーズに応えていけるかといった出版社の姿勢にもよるかもしれない。(記事:森野沙織・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事