「買いたい弱気」とバランスを取り日経225構成の好配当・低PBR株に超短期限定対応も一法=浅妻昭治

2014年9月24日 10:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  もしかして、こういう投資家心理を「買いたい弱気」というのかもしれない。日経平均株価は、リーマン・ショック後の昨年12月の高値1万6320円を更新する急騰を演じ、為替相場も、1ドル=109円台と6年ぶりの円安水準となった。ところがその株高も円安も一巡し、米国のNYダウも、107ドル安と急反落し、8月5日以来の大幅下げとなった。この日米株価の反落は、日本株では、飛び石連休の谷間で利益確定売りの押されるのは当然であり、NYダウも連日、史上最高値を更新してきていただけに一服場面があっても何ら不思議はないとは分かってはいる。しかし、実際に株価が反落するといらぬ心配が頭をもたげるのを抑えることができなくなる。

  今回の日本株の株高は、残念なことに昨年12月とは異なり「アベノミクス」効果ではない。2つの重要イベントを無事に通過したことによるとマーケットコメントされた。9月16日~17日に開催されたFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)と、9月18日に投票、19日に開票されたスコットランドの住民投票がキッカケとなり、FOMCでは、金利を早期に引き上げるか引き上げないかどのようにも受け取れるタカ派的、ハト派的文言がちりばめられ、スコットランドの独立を問う住民投票では、結局は独立が否決されたものの、いずれも円安・ドル高・ユーロ高を牽引し、株高を演出してくれた。兜町は、イエレンFRB議長やスコットランド民族党のサモンド党首には、いくら謝辞を述べても述べきれない。

  ただこの円安は、いかにも急激で幅も大きく、黒田東彦日銀総裁や榊原定征経団連会長らの産業界トップが「安定的に推移するのが望ましい」とコメントしたように、プラスとマイナスの影響が日本経済をより混乱させることが懸念されている。まして株価形成のファンダメンタルとなる企業業績にとっては、9月中間期(2Q)の決算期末をあと1週間後に控える重要なターニングポイントである。円安のメリットとデメリットが、企業業績全般の不透明化にもつながりかねない。

  さらに、ソニー <6758> の株価が、9月17日に発表した業績下方修正・赤字幅拡大、上場以来の無配転落を嫌って急落したことも、再び悪い連想につながってくる。いくら業績不調による株価急落で全般相場を直撃して激変させる「ショック安」の常習犯といっても、2Q期末を控えて第2のソニー、第3のソニーが続出してこないか当然、身構えることになる。

  こうなると、今回の円安、輸出主力株の株価急騰にタイミングよく乗った市場参加者は、高値でハシゴを外されるのでないかと足がすくみ、乗り遅れた投資家は、あれこれ弱材料を並べ立て「買いたい弱気」を決め込むことになる。こうしたマイナーな投資家心理は、2Q期末を挟んで3月期決算会社に上方修正銘柄が相次ぎはっきり円安メリットを確認できるまで続くと推定される。

  それまでは、揺れ動く投資家心理のバランスに配慮し、どのような投資スタンスを取ることが正解か?そこで、日経平均株価(日経225)の構成銘柄のうちの3月期決算会社の好配当銘柄にターゲットを絞ることをお薦めしたい。確かに毎度お馴染みの銘柄が浮上することになるが、それでもそのなかからPBRが1倍台を割る銘柄にアプローチすれば、好配当利回りをエンジョイできるほか、あるいはそこそこの値幅効果も狙えるかもしれないのである。明25日の中間配当の権利付き最終日まであと2日間、超短期限定の忙しい投資判断・投資行動を迫られることになるが、一考余地は大いにあるはずである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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