「バーチャル株」でも「リアル株」でもブライダル関連株はIPO株人気再燃に向け先取り妙味=浅妻昭治

2014年2月24日 09:36

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  新規株式公開(IPO)株の周辺が、またまた風雲急である。今年のIPO市場は、2月13日にアキュセラ <4589> (東マ)が、昨年12月24日以来、約2カ月ぶりにIPOされ、公開価格比27%高で初値をつけ、その後はこの初値を下回って推移するなど、昨年の54社IPOでは、52社が公開価格を上回る(勝ち)、1社が公開価格を下回る(負け)の52勝1敗1分けの高勝率を記録したことに比べいまひとつ盛り上がりに欠けていたのが、突如、賑わい騒然としてきたのである。

  どれだけ騒然としているかといえば、キッカケは2月19日に生活支援ロボットを開発・製造・販売するCYBERDYNE <7779> (東マ)のIPOが承認されたことにある。承認と同時に、同じ介護用マッスルスーツを開発・製造する菊池製作所 <3444> (JQS)やロボット用減速装置メーカーのハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> (JQS)が、それぞれストップ高し、翌20日に人気キャラクターを開発するディー・エル・イー <3686> (東マ)のIPOが承認されると、今度は同社の筆頭株主に位置するドリームインキュベータ <4310> も、11%高と急伸した。

  IPO関連株の急騰は、これだけに終わっていない。発行済み株式数の90.5%を保有する子会社の日本BS放送 <9414> (東2)のIPO承認では、ビックカメラ <3048> が、今年1月につけた昨年来高値に迫り、結婚式場選びの口コミサイトを運営するみんなのウェディング(みんなのWED) <3685> (東マ)のIPO承認では、同じネット関連株やブライダル関連株が、上場来高値追いや昨年来高値追いなどと動意付いた。

  今年のIPO株は、3月26日に上場予定のサイバーダインまでまだ11社のIPO承認が決定しただけに過ぎないのがこの騒々しさである。こうなるとどうしたって、昨年10月から12月上旬にかけての「IPOバブル」の再燃かとも警戒された相次いだ高初値倍率をつけたIPO高人気が彷彿となる。この期間の初値倍率は、2倍、3倍は当たり前で、11月19日IPOのANAP <3189> (JQS)の初値倍率は、5.1倍と昨年トップのリプロセル <4978> (JQG)の5.5倍に迫った。

  この時期の全般相場は、日経平均株価が、米国の量的緩和策の縮小懸念、米政府機関の一部閉鎖などを背景に円高が進んで1万4000円台を挟んで方向感を探っていたが、このIPO株人気が起爆剤となって、その後の大納会の1万6320円への昨年来高値追いにつながった。今回のIPO関連株の急動意も、昨秋と同様に全般相場の動向と大いに関係がありそうだ。全般相場は現在、米国景気の先行き懸念や中国経済の失速不安、さらに2月22日のG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議で改革要請が打ち出されたものの、なお不透明感が拭えない新興国通貨動向などからまたも1万4000円台で下値を試す調整色が尾を引いており、この逆風を押し返すべくIPO株を先頭に立てて相場の修復を促そうという市場コンセンサスも、垣間見られるのである。

  しかも、このIPO周辺株の急動意は、昨秋とは異なる相場ファクターを含んでいる。昨秋は、確かにIPO株自体は、高初値倍率銘柄が続出したが、IPO株の類似企業は軒並み安となった。類似企業の保有株を売ってIPO株に乗り換え集中人気となったことを反映した。ところが、今回は、IPO株が上場する前から周辺の関連株が買い進まれているのである。これは、リプロセルのIPOを前に類似のiPS細胞関連株が軒並み人気となった昨年5~6月相場とうり二つで、それだけIPO相場はスケールが大きいことも示唆していそうである。

  この予想が当たらずとも遠からずとなるようなら、IPO周辺株にはなお上値を追う余地があることになる。今年のIPO株は、昨年の54社を上回る70社~80社に増加するとの観測があり、まだこれから関連人気株が登場する可能性もあり、急ぐことはない。ただ、すでにIPOが承認された11社から有望な周辺株を選ぶとしたら、3月25日にIPO予定のみんなのWEDの関連株にアプローチしてみたい。この銘柄は、ネット上の仮想7サイトを運営する関連の「バーチャル株」だが、周辺株は「バーチャル株」から実店舗で事業展開する「リアル株」まで類似企業の裾野が広いからである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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