不確定イベント通過で時価総額1兆円銘柄の予備軍から「第2の富士重工」を期待=浅妻昭治

2013年7月16日 10:05

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  またまた「金曜日の引けピン」であった。連休前の12日も、日経平均株価はほぼ高値引けとなり、これで6月14日以来、「金曜日の引けピン」は5週連続を数えた。「金曜日の引けピン」は、週末休みを挟んだ翌週の強気相場を示唆するアノマリーとされており、このアノマリー通りに日経平均株価は、6月14日から1887円、14%も値上がりした。

  しかし今回の7月12日の「金曜日の引けピン」は、微妙な時期のアノマリーではある。まず「海の日」を含めた3連休前の週末であることが上げられる。「オーバーナイト」の「リクス」は、1日分だけ余計なのである。しかも今週は、7月21日に参議院選挙の投開票日を迎え、その前の17~18日には、FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長の議会証言が控えている。

  参議院選挙は、新聞各紙でも、自民・公明党の圧勝、「ねじれ国会」解消と情勢分析され、この早打ち観測に乗って、すでに株価はかなりの部分まで織り込んでいるが、勝負事は、「ゲタを履くまで分からない」というのが古今東西の鉄則である。バーナンキ議長の議会証言も、2カ月前の5月23日の議会証言では株価、為替の金融市場は、世界的なショック安に見舞われた。

  為替相場は、1ドル=101円台から94円台まで円高となり、日経平均株価は、年初来高値1万5942円から1万2415円まで突っ込んだ。バーナンキ議長が、量的緩和の早期縮小に言及したことが、余剰マネーの吸い上げにつながるとして世界のマーケットを直撃、「リスクオン」が、「リスクオフ」に急変し売り急ぎに拍車を掛けた。今回の17~18日の議会証言では、その後の同議長発言のトーンダウンの通りに、量的緩和の縮小時期の後ズレも示唆されるとみられているものの、日本以上にショックを受けた中国や新興国市場の株価が、持ち直しの動きを強めるかこれも見極める必要があることは言うまでもない。

  こうした不確定なイベントが、なお続くなかでのまたしてもの「金曜日の引けピン」であり、市場参加者各位の勇猛果敢な買い姿勢には敬意を払うばかりである。確かにイベントが予定調和通りに一巡すれば、時計の針は5月23日まで巻き戻され「アベノミクス」相場が、仕切り直しとなる展開が想定されることは間違いないのである。となれば、ここは「金曜日の引けピン」に乗ってもう一度、2カ月前にタイムスリップして、投資戦略を練り直してみることも一法かもしれない。

  この日経平均株価の年初来高値時点で話題になった一つが、時価総額1兆円銘柄の続出であった。5月20日現在で1兆円超の銘柄が、94社と野田佳彦前首相が、衆議院の解散・総選挙を表明した2012年11月14日の47社から半年で倍増、リーマン・ショック前の2007年末の107社以来の水準を記録したことが、大手経済紙の証券欄のトップ記事となったことは記憶に新しい。

  新規に1兆円を超えた銘柄としてガンホー・オンライン・エンターテインメント <3765> (JQS)、富士重工業 <7270> 、ユニ・チャーム <8113> も取り上げられた。参議院選挙後には、3月期決算会社の第1四半期(4~6月期、1Q)決算の発表が本格化するが、この業績発表を期に業績相場がスタートするとの期待が高まっており、この業績相場シナリオに従えば、また5月と同様に時価総額1兆円銘柄、予備銘柄に脚光が当たる相場展開も十分に想定されることになる。

  連休前12日終値現在で時価総額が1兆円を超えた銘柄は、91社に達する。7月3日に新規株式公開(IPO)されたばかりのサントリー食品インターナショナル <2587> も、時価総額1兆1031億円で第81位にランクインした。また、ガンホーも、再度の株式分割の権利落ちで株価は10万円台出没となっているが、1兆1747億円を維持して順位77位と健闘している。富士重工は、今年2月に時価総額1兆円台に乗せ、5月の上場来高値更新で2兆1646円まで拡大、株価急落で1兆5265億円と目減りしたが、12日終値現在で2兆1098億円まで復元した。さらに1兆792億円で83位の大和ハウス工業 <1925> は、7月5日に1378億円を調達する新株式発行と自己株式の処分を発表、株価は、200円安と下ぶれて時価総額を約1000億円目減りさせており、1兆円をキープできるかやや不透明となっているなど、話題は尽きない。

  投資対象として妙味がありアプローチしたいのは、時価総額が9000億円台にあって、1兆円銘柄の仲間入りを窺っている予備軍の銘柄だ。1Q決算発表時に業績の上方修正や、1Q業績自体が高利益進捗率を示せば、それをバネに「第2の富士重工」の続出も、十分に狙えることになる。決算発表予定日と照らし合わせながら、業績分析に万全を期せば、好パフォーマンスが期待されることになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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